先日発表された、国家戦略特区法案アベノミクス3本目の矢。
東京・大阪・愛知の三大都市圏を中心に2014年度内にも規制改革されるというものです。
建築不動産関係では「都市再生まちづくり」として、
1、都心のマンション等の容積緩和
2、外国人向けに賃貸住宅を宿泊施設にできる特例
3、国際的なイベントなどで道路を使いやすくする特例
の3つが挙げられています。
2と3については、対オリンピック特例かと思われますので大した驚きはありませんが
1については、非常に興味深い事です。
記事には続けてこうあります。
「外資系企業の進出などを見込み、都心部のオフィス近くに住宅を多数作ることができるよう、マンションの容積率緩和など土地利用の規制を大幅に緩和する」
この特区が時限性のものなのか、事実上永続的に続いていく制度なのかにもよりますが、
三大都市圏にマンション購入を検討されている方にとっては
この特区がどこのエリアになるのかという事が
購入エリアについて重大な要素になる可能性が出て来ました。
この容積緩和というのは、簡単に例えれば、今10階建てのマンションしか建てられない土地が15階や20階建てまで建てられるようになるという事です。
特に都市部はどれぐらい大きな建物を建てる事が出来るかが土地の価値に
大きな影響を与えます。
例えば、土地の面積が同じでも、2倍の大きさの分譲マンションが建てられる場合、
マンション販売をすれば、2倍の売上を上げられる事になります。
2倍の大きさのオフィスビルや賃貸マンションが建てられる場合、賃貸収入も2倍になります。
よって、容積緩和されるエリアによって、
これまでの市場価値が変動する可能性があるのです。
「私は都心に土地なんか高くて買えないから関係ないでしょ?」
「私はもう建ってる中古マンション買う予定だから関係ないでしょ?」
こう思う方もいらっしゃるかと思います。
確かに、短期的には関係がないかも知れません。
しかし、先に述べたように、もしこの特区が永続的なものだとすると、
長期的には関係大アリです。
なぜなら、長期的には必ずマンションの建替えという問題にぶつかるからです。
今、古いマンションの建替えが社会問題になりつつあります。
それは、建て替えを行うだけの所有者の所定数の同意が得られないという事が
一番の問題なのですが、根本は違う所にもあります。
それは、潜在的な資産価値の余剰が無いという事です。
もし、今10階建ての建替えをしなければならないような古いマンションが
今回の特区で20階建てまで建てられるようになったとします。
そうすると、建て替えれば今のマンションよりも10階分多く
販売出来るマンションを建てる事が出来ます。
これが「潜在的な資産価値の余剰」です。
マンションディベロッパーにとって、ただでさえ土地の少ない都心部の
このような物件は建替え案件の中では超優良物件です。
元々建替えするお金が無く反対していた所有者も、
高くマンションディベロッパーに販売出来るかも知れないという選択肢が増えます。
結果、建替えという問題を解決出来る可能性が非常に高くなります。
容積率の緩和により、潜在的な不動産価値が上がる事によって、
建替え不可能なマンションが息を吹き替えす可能性も出てきた訳です。
まだ、この特区が具体的にどこのエリアに指定されるかという事はこれからの様です。
町並み保存の為に、高層の建物を建てられないようにしている地域もあり、
日照の問題や相続税はどうするのかなど、個別に考えると様々なハードルが考えられますが、
恐らく、多少強引にでも突き進むでしょう。
今、既に都市部にマンションを所有している人はもちろんの事、
これからマンション購入を考えている方にとっても、
この容積緩和の特区が何処に指定されるか目が離せません。
報道をそのまま読み取ると、オフィスとマンション混在地域やオフィス郡近くの居住地域、
東京で行けば、混在地域の千代田・中央・新宿、隣接居住区の渋谷・港と言った所では無いでしょうか。
そういえば、この間の都議会選挙の千代田区で行われていた街頭演説で麻生さんが
容積緩和に触れていたのを思い出しました。
いずれにしても千代田区の一部は間違い無く指定されるでしょう。
この様に、国の政策によっても、また金利に見られるように金融や経済状況によっても
家探しや家づくりというのは大きな影響を与える時代となりました。
あらゆる事に敏感に察知し、安倍さんが何をしても対応が出来るような
安定感を持った家探しや家づくりが必要です。
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