黒田日銀総裁の下で異次元緩和が実際にスタートしました。
2年でマネタリーベースを2倍にするという緩和です。
マネタリーベースとマネーサプライは共に「市場に流通しているお金」ですが似て非なるもので、マネーサプライは「銀行の持つお金」が含まれません。
今やろうとしているマネタリーベースを2倍にするという事は、銀行が所有している国債を日銀がこれまでより大量に購入するという事です。
これが意味する事は、ようするに日銀という銀行が銀行から買い物をするわけですので、いくら日銀が銀行から国債を買っても、マネーサプライは増えない訳です。
ここからが脱デフレの課題であり、銀行が日銀に国債を売ったお金を本当の「市場」である企業や個人にお金が回るかどうかという事になります。
これまでの国債の主な流れは以下のようになります。
個人や企業が銀行に預金をします。
預金金利は現在0.1%以下です。
銀行はお金を預かっているだけでは当然0.1%分損をします。
0.1%以上の金利で誰かに貸す必要がある訳ですが、これまでは誰も借りませんし、銀行も貸しません。
そうすると、国に貸す訳です。
これが国債です。
現在の10年国債の金利は0.5%ぐらいですので、差分の0.4%は銀行は利益が出る訳です。
個人で国債を購入していない人であっても、銀行に預けている時点で実質は国債を購入している事になっています。
という事を何十年も続けて来た為、個人や企業にお金が回らず、デフレスパイラルを起こし続けて来ました。
話を戻して、国債を日銀が銀行から大量に購入をすると、銀行に現金が溢れます。
また、このお金で国債購入していては何の意味も無い訳です。
まさにマネタリーベースがいくら増えても、マネーサプライが増えないという状態です。
この国債の売買とマネタリーベース等の関係が個人は関係ないかというと当然大アリです。
住宅ローンを組む場合の金利は、この10年国債金利が基本のベースになります。
大体、10年国債金利+1%ぐらいした所が住宅ローン金利で、当然日々変動をします。
「2年間でマネタリーベースを2倍にする」=「国債をマネタリーベースが2倍になるまで日銀が買い続ける」という事です。
日銀は日本円をいくらでも印刷出来る訳ですから、日銀が国債を買えなくなるという事は有り得なく、日本の国債が少なくとも2年は暴落する可能性は少ないとも言えるかも知れません。
「「国債を買う人がいなくなる」=「国債価格の下落」=「金利の高騰」ですので、住宅ローン金利はここ1~2年はそう簡単には高騰しないとも考えられます。
しかし、この世界中で始まっている低金利時代は必ず終りを告げます。
金利はいつの時点か必ず高騰し始めますので、住宅ローンを組む際の金利を「変動」にするか「固定」にするかは、その個人の方の返済計画と資産バランスシートからよくよく考えて決定すべきです。
ただ、通常の30年や35年という長期で借りる場合には、固定金利とするのが今の時期は王道である事は間違いありません。
今の時代は10年20年で相当に金融事情が変動します。
借り換えが当たり前の時代となりますので、住宅ローンを組んだら終わりでは無く、その後の金利の動向等も気にかけながら、経済の波に上手に乗るという事が大切です。
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