これまでの不動産のビジネスモデルは、売主と不動産屋との関係が主体となっていました。売主が不動産屋に依頼をする所からビジネスが始まります。
その売り物件を店に情報として陳列し、来店した買い手のお客様へ紹介をして営業をするという手法です。
実は不動産屋にとっては買い手を集めるというよりも、この売り物件を集める事の方が重要な事なのです。
IT社会に入り、不動産業界では物件の情報はかなりオープンになって来ました。エンドユーザーもポータルサイトで不動産物件を自分で探すという事も当たり前になって来ました。
しかし、業界の根本的なビジネスモデルは変わっていません。
あくまでも「物件を売る」というビジネスモデルです。
不動産の売買は、言われるまでも無く慎重を帰さなければなりません。
普通の人にとっては、人生で数回しか無い不動産の売買です。
不動産情報のIT化は不動産屋主導では無く、自分で物件を探す事が出来るようになったというメリットの反面、自分で全てを判断しなければならないというディメリットが生じています。
自分で学べる事は素晴らしい事ではありますが、専門家に意見を聞くという事が圧倒的に無くなっているのです。
元々、家探しや家づくりは、非常に重要な事であるにも関わらず、プライベートな課題であるだけに家族だけで考えて、誰にも相談をせず決断をする方が多くいらっしゃいます。
もう少し、誰かに相談をしてみたりすれば良いのにと思うような選択をする人が私の周辺にも沢山いらっしゃいます。
私は正しい家探し・家づくりを決めるポイントとして、3つの条件を上げています。
1、資金とファイナンシャルプラン
想定ライフイベントを元に
「返済キャッシュフロー」
「資産バランスシート」
の策定をする。
2、建物と立地
建物と立地の
「耐久性・耐震性」
「耐災害性」
「管理体制」
の診断
3、収益性とリスク回避
あらゆるリスクを想定した
「収益価値(想定家賃)」
「流通性(売りやすさ)」
の掌握
以上の3つです。
これらを自分の主観で判断する事は極めて難しく、専門的な知識と合わせて、客観的な意見が大切です。
専門的な知識を持ち、客観的な意見をきちんと言ってくれる人が友人としているという事が一番の重要な事なのです。
私は業界全体として、この物件を売る事から始まるビジネスモデルを転換しなければならない時期に来ていると考えます。
「物件を売る」から「一緒に探す・つくる」というビジネスモデルへの転換です。
不動産に限らず、情報はこれからは更にオープンになって来るでしょう。
その煩雑な情報から、正しい家探し・家づくりを客観的な視点から一緒に検討をして行くという事が、これからの建築不動産における仕事となっていくと確信しています。
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